骨粗鬆症専門外来このページを印刷する - 骨粗鬆症専門外来

はじめに

 日本国内には、約1100万人の骨粗鬆症の患者さんがいます。何と、日本国民の10人に1人が骨粗鬆症にかかっています。そのうち、治療を受けている患者数は、たった約200万人です。徳島県の人口約79万人では、骨粗鬆症推計患者数は約8万人、治療を受けている患者さんは約1万6千人ということになります。

 骨粗鬆症の治療では、骨折予防が大切です。代表的な骨折は、背骨の骨折(椎体骨折)や脚の付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)です。これら骨折は、患者さんの寿命を短くします。骨粗鬆症は、糖尿病や高血圧を代表とする生活習慣病や悪性腫瘍と同様に、早期発見、早期治療が必要な病気といっても過言ではありません。

 徳島病院では、骨粗鬆症の診断、治療、予防の全てを行います。対象となる患者さんは、徳島県内で約8万人もいます。治療目標は、骨粗鬆症患者における骨折を予防して、日常生活の自立のみならず生活の質を改善することです。



診断

 骨粗鬆症は、病歴聴取、身体診察、画像診断(単純X線学的検査、骨密度測定)、骨代謝マーカーの値を総合的に判断して診断を行います。

 徳島病院では、骨密度測定は、腰椎と大腿骨の2か所を標準測定しています。骨代謝マーカーは、血液検査と尿検査で実施します。単純X線学的検査では、背骨の骨折の有る無しを判定します。

 骨粗鬆症の診断は、日本骨代謝学会から提示された骨粗鬆症診断基準に沿って行います。



治療

薬物療法

 骨粗鬆症治療薬は、骨折を予防します。現在、治療薬として、ビスホスホネート製剤、副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD3製剤、選択的エストロゲン受容体モデュレーターがあります。薬物療法開始基準は、日本骨代謝学会から発表されました。

 薬物治療開始後は、6か月あるいは1年に1度の骨密度測定、単純X線学的検査、骨代謝マーカーの測定を実施して薬物療法の効果を判定します。骨密度の増加がみられない患者では、治療薬の変更を行ないます。

リハビリテーション(運動療法)

 転倒の危険性は、重心動揺計を用いて評価します。転倒の危険性が高い骨粗鬆症患者に対しては、運動療法を実施して、立位・歩行バランスを改善して転倒予防を目指します。

栄養指導

 骨粗鬆症の生活指導の一環で、食事からのカルシウム摂取量の調査、効率よいカルシウム摂取について、徳島病院の栄養士が栄養指導を行います。



骨粗鬆症の予防

 骨粗鬆症の予防の3本柱は、運動、カルシウム摂取、日光浴です。

 運動は週2日から3日、30分以上あるいは5000歩の散歩を行います。早朝や夕方の運動は、できるだけ避けましょう。日光浴をしながら散歩すれば、一石二鳥でしょう。

 カルシウム摂取は、乳製品からのカルシウム摂取が効率が良いとされています。牛乳が飲める方は、夜寝る前、牛乳を少し温めて、200mlほど飲んでください。牛乳が飲めない方は、チーズやヨーグルトでも結構です。